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『クサリヘビ殺人事件 蛇のしっぽがつかめない』はこんな人におすすめ
・社会派ミステリーが好きな人
・ペット業界に興味がある人
動物に関わる人間には様々な目的がある。愛でるために飼育する人もいれば、狩りなどで動物に関わる人もいるだろう。しかし、歪んだ欲望を持った人間が動物に関わった時、果たしてどうなってしまうのだろうか。
作者のデビュー作にして、第17回「このミステリーがすごい!」大賞の隠し玉作品である『クサリヘビ殺人事件 蛇のしっぽがつかめない』(越尾圭/宝島社)は人間と動物の関係性を考えさせられる一風変わったミステリーだ。
「クサリヘビ殺人事件 蛇のしっぽがつかめない」あらすじ
動物診療所を営む獣医である遠野太一は、深夜に幼馴染のペットショップ経営者・小塚恭平からの電話を受けた。様子がおかしいことを察した太一は恭平の自宅マンションに踏み込み、倒れている恭平を発見する。恭平は自宅内で猛毒を持つラッセルクサリヘビに噛まれて死亡していたのであった。
太一は恭平の死の真相を探るため、恭平の妹であり税関職員の利香と独自に調査を始めることに。しかし、動き始めた途端、太一の診療所が襲撃されたり、協力者が暴行されたりするなど、立て続けに周囲で事件が起こり始める。
果たして太一は恭平の死の真相にたどり着くことができるのだろうか。
毒性はある?クサリヘビとは?
本書にはクサリヘビという聞きなれないヘビの名前がタイトルに使用されており本編にも登場する。どんなヘビか予備知識があるとイメージしやすいかもしれない。クサリヘビとはクサリヘビ科に属するヘビの総称である。できるだけ身近な例を挙げると日本に生息するマムシやハブもクサリヘビの一種だ。
本書に登場するラッセルクサリヘビは、主に東南アジアに生息。平均して体長120cm程に成長し、猛毒を持つヘビとして恐れられている。
【感想】希少価値とは人間の欲望を増長させる源にもなり得る
望月真琴
欲望の終着地点
物語の中で「ターミナル・ポイント」と呼ばれる場所が鍵となり、太一はそこがどこなのか特定しようと邁進する。そして、太一は「ターミナル・ポイント」を探し出して侵入し、希少動物が違法に生育されていることを突き止めた。さらにそこで希少動物を使用した恐ろしいことが行われている事実を知る。しかし、侵入がバレてしまい、窮地に追い込まれることに。